空想機械設計図鑑
No.027 · 1925 · Atelier Relier

夢採集機

Collecteur de Rêves

眠りの中にある、まだ見ぬ世界をすくいあげる装置。

夢・記憶架空技術資料設計図
夢採集機 全体設計図

睡眠中に現れる断片的な像、呼吸の揺らぎ、眼球運動、寝返りの周期を「夢圧」として読み取り、霧状の記憶媒体へ写し取るとされた機械。採集された夢はガラス瓶に一晩だけ保存でき、翌朝には輪郭から少しずつほどけていく。

「眠りの中にある、まだ見ぬ世界をすくいあげる装置。」

来歴

1925年、ルリエ工房の私家版目録に一度だけ掲載されたとされる。発注者は「同じ夢を二度見たい」と願った無名の収集家。試作27号機は再生時に本人の記憶ではない街路風景を混入させる癖があり、工房はこれを故障ではなく「夢の自然な混線」と記録した。

作動原理

枕内部の脳波測定枠、呼吸ベローズ、指先脈拍器の三系統から得た微細変動を機械式演算盤で重ね合わせる。得られた波形を夢捕集ホーンの薄膜へ伝え、凝縮器で冷やすと、銀塩を含む霧に濃淡が現れる。その霧を保存瓶へ導き、揮発するまでを一単位の「夢片」とする。

主要諸元

全長2,200 mm
全高1,600 mm
質量約310 kg
駆動手動ゼンマイ+呼吸補助
採集時間約40分/瓶
保存目安一晩〜三日
主要材質真鍮・鋼・ガラス・革

主要構成部品

  • 角度調整式睡眠台
  • 夢捕集ホーン
  • 脳波測定枠
  • 呼吸ベローズ
  • 微振動演算盤
  • 霧化・凝縮槽
  • 保存瓶ラック
  • 手動ゼンマイ駆動部

組立手順

図鑑内の演出として記述された架空工程です。実機製作を目的としません。

  1. 睡眠台を水平な床へ固定し、脚部4点のガタをなくす。
  2. 頭部側フレームへ脳波測定枠を取り付け、枕中央と同心になるよう調整する。
  3. 夢捕集ホーンを凝縮槽へ接続し、蛇腹管の曲げ半径を大きく保つ。
  4. 呼吸ベローズと指先脈拍器を演算盤の二つの入力軸へ連結する。
  5. 凝縮槽下部に空の保存瓶を装着し、漏れ止めパッキンを軽く締める。
  6. ゼンマイを三回だけ巻き、無負荷で一分間運転して針の戻りを確認する。

使用方法

  1. 被験者を睡眠台へ横たえ、測定枠をこめかみから少し離して合わせる。
  2. 室内照明を落とし、ゼンマイを規定位置まで巻く。
  3. 自然な睡眠に入ってから捕集弁を開き、約40分を一回の採集時間とする。
  4. 凝縮槽が白く曇ったら保存弁を開き、霧を瓶へ移す。
  5. 採集後30分以内に瓶へ日付・被験者・夢の呼称を記入する。
  6. 再生はホーンを逆向きに接続し、瓶を人肌程度まで温める。完全な再現は期待しない。

保守・手入れ

  • ホーン薄膜は10回使用ごとに乾拭きする。
  • 凝縮槽の銀塩霧は毎月交換する。
  • 演算盤の歯車油は季節ごとに一滴だけ補給する。

注意事項

  • 強い悪夢の直後は同一瓶へ追加入力しない。
  • 複数人分の夢片を混ぜると人物関係が入れ替わることがある。
  • 保存瓶は直射日光を避ける。
  • 本資料は架空設定であり、実在する医療・計測機器の製作手順ではない。

異常記録・備考

  • 「海の見える街」だけは被験者に関係なく頻出する。
  • 採集瓶を並べ替えると、夢の順番も入れ替わったと証言する例がある。

本作は架空の機械・架空の歴史を扱う創作図鑑です。組立・運転手順は世界観表現であり、現実の機械製作・医療・電気・圧力・生物実験の手順ではありません。