No.031 · 1922 · 夢野製作所
記憶縫合機
Machine à Recoudre les Souvenirs
断たれた記憶を、もう一度つなぎ合わせる。

思い出の前後関係が途切れた時、その断片を紙帯へ写し、似た感情の「糸」で順番を縫い合わせるという機械。治療装置ではなく、記憶を物語として再構成するための架空の編集機である。
「断たれた記憶を、もう一度つなぎ合わせる。」
来歴
戦後の記憶研究所で短期間使われたという設定。成功例よりも「縫い目が美しすぎるため、本当の記憶より作り物の記憶を好むようになる」という倫理上の問題で封印された。
作動原理
頭部電極から得た反応を穴あき紙帯へ写し、感情の強度を穴間隔として符号化する。二本の記憶リールを同時に送り、縫合針が類似度の高い区間を細い金属糸で結ぶ。完成した紙帯を逆読込すると、連続した記憶像として再生されるという設定。
主要諸元
| 全長 | 1,850 mm |
| 全高 | 1,420 mm |
| 質量 | 約260 kg |
| 記録媒体 | 穿孔紙帯 |
| 縫合速度 | 約12 cm/分 |
| 駆動 | 足踏み+ゼンマイ |
| 主要材質 | 鋼・真鍮・紙・絹糸 |
主要構成部品
- 頭部電極バンド
- 記憶読取器
- 上糸・下糸リール
- 縫合針台
- 紙帯搬送機
- 感情類似度計
- 記憶保存瓶
- リクライニング椅子
組立手順
図鑑内の演出として記述された架空工程です。実機製作を目的としません。
- 椅子と基台をボルトで一体化する。
- 頭部電極バンドを可動アームへ装着する。
- 紙帯搬送機を中央フレームへ固定する。
- 上糸・下糸リールを左右の軸へ入れる。
- 縫合針台を紙帯中央に合わせ、針先の高さを調整する。
- 保存瓶を最終出力側へ設置し、無記録紙で試運転する。
使用方法
- 対象となる二つの記憶を短い言葉で紙帯冒頭へ記す。
- 電極バンドを装着し、一方の記憶を想起する。
- 紙帯を交換せず、もう一方の記憶も読み取る。
- 類似度計を中程度に設定し、自動縫合を開始する。
- 縫合後の紙帯を逆読込し、違和感が強ければその区間だけ糸を外す。
- 完成帯は保存瓶へ巻いた状態で保管する。
保守・手入れ
- 縫合針を50回ごとに交換する。
- 紙粉を毎回除去する。
- 電極バンドは乾いた布で清掃する。
注意事項
- 本人が望まない記憶同士を縫合しない。
- 空白部分を機械に推測させすぎない。
- 同じ区間を三回以上縫い直さない。
- 架空世界の装置であり医療行為を意図しない。
異常記録・備考
- 縫合糸を赤色にすると幼少期の場面が増える。
- 修復した記憶の背景に見知らぬ時計が現れる例が多い。
本作は架空の機械・架空の歴史を扱う創作図鑑です。組立・運転手順は世界観表現であり、現実の機械製作・医療・電気・圧力・生物実験の手順ではありません。