No.033 · 1926 · 夢野製作所
影写植機
Imprimeuse d’Ombres
人の形を集め、定め、紙に写しとる。

人物の影を大型集光筒で取り込み、影の濃淡を数層に分解して紙へ印刷する装置。写真が表情を残すなら、影写植機は「その人がそこに立った気配」を保存する、と工房は宣伝した。
「人の形を集め、定め、紙に写しとる。」
来歴
肖像写真を嫌う人向けに作られたという設定。葬送用の記念紙、舞台俳優の姿勢記録、建築家の人体尺度資料など意外に用途が広かった。
作動原理
被写体の背後から多方向光を当て、正面の大口径レンズで影を重ねて採取する。濃淡を三枚の感光膜へ分け、輪郭・半影・中心影を別々に印刷し、最後に重ね刷りする。
主要諸元
| 全長 | 2,460 mm |
| 全高 | 1,860 mm |
| 質量 | 約2,000 kg |
| 印刷面 | 最大600×800 mm |
| 露光時間 | 5〜60秒 |
| 駆動 | 手動+定速電動 |
| 主要材質 | 真鍮・鋼・ガラス・黒紙 |
主要構成部品
- 大型集光筒
- 多方向照明架
- 影安定室
- 三層感光膜
- ローラー印刷部
- 紙送り機構
- 露光時計
- 姿勢固定目盛
組立手順
図鑑内の演出として記述された架空工程です。実機製作を目的としません。
- 基台へ影安定室を固定する。
- 集光筒を室の中心線へ合わせる。
- 多方向照明架を被写体位置の後方へ配置する。
- 三層感光膜を順番どおり装填する。
- ローラー印刷部と紙送り機構を接続する。
- 白紙で送り精度を確認する。
使用方法
- 被写体を姿勢目盛の位置へ立たせる。
- 照明を一灯ずつ点灯し影の重なりを確認する。
- 露光時計を設定して三層を順に感光させる。
- 印刷部へ紙を通し、薄い層から重ね刷りする。
- 乾燥後、輪郭に二重像がないか検査する。
保守・手入れ
- レンズとガラス面を柔らかい布で清掃する。
- ローラーの紙粉を毎回除去する。
- 露光時計を月一回点検する。
注意事項
- 強い照明を長時間直視しない。
- 被写体が動くと「二人分の影」になる。
- 感光膜は光を避けて保管する。
- 実在する印刷機の操作マニュアルではない。
異常記録・備考
- 人物が去った後も数分だけ影が室内に残るとされる。
- 同じ人を一年ごとに撮ると、影だけ少しずつ若返る例がある。
本作は架空の機械・架空の歴史を扱う創作図鑑です。組立・運転手順は世界観表現であり、現実の機械製作・医療・電気・圧力・生物実験の手順ではありません。