空想機械設計図鑑
No.038 · 1926 · Atelier Relier

海鳴翻訳機

Traducteur de Rumeurs Maritimes

海の聲を、言葉に。

海・音架空技術資料設計図
海鳴翻訳機 全体設計図

岬や港の波音を複数の集音角で受け、周波数ごとに分解し、文字列と五線譜へ変換する架空の翻訳機。海が語るのは予言ではなく、遠い船、天候、地形、そこに残った記憶だとされた。

「海の聲を、言葉に。」

来歴

灯台守向け観測補助装置として提案されたという設定。実際には翻訳結果が詩的すぎ、「西から嵐が来る」を「窓を閉め、古い歌を思い出せ」と出力したため測候所では採用されなかった。

作動原理

大小の集音角で波音を帯域別に拾い、共鳴球で増幅する。分離器が低音を地形、高音を風、周期成分を潮位として分類し、機械式辞書ドラムが文字帯へ近似語を打刻する。

主要諸元

全長2,340 mm
全高1,680 mm
質量約420 kg
聴取範囲0.1〜10,000 Hz
出力文字帯+五線譜
駆動手動ゼンマイ
主要材質真鍮・青銅・ガラス・紙

主要構成部品

  • 集音角四基
  • 共鳴球
  • 周波数分離器
  • 機械式解析盤
  • 辞書ドラム
  • 文字記録筒
  • 五線譜記録部
  • 手動ゼンマイ

組立手順

図鑑内の演出として記述された架空工程です。実機製作を目的としません。

  1. 海に向く窓際へ基台を置く。
  2. 四つの集音角を異なる高さで取り付ける。
  3. 共鳴球と分離器を短い管で接続する。
  4. 解析盤と辞書ドラムを歯車列で連結する。
  5. 文字帯と五線紙を各記録筒へ装填する。
  6. 無音状態でゼロ点を合わせる。

使用方法

  1. 集音角を海面へ向ける。
  2. ゼンマイを巻き、記録紙を送る。
  3. 五分間は解析のみ行い基準音を取る。
  4. 翻訳弁を開き、文字帯への打刻を開始する。
  5. 一時間ごとに紙を切り離し、実際の天候・潮位と照合する。

保守・手入れ

  • 集音角の塩分を拭き取る。
  • 辞書ドラムへ月一回油を差す。
  • 記録紙を湿気から守る。

注意事項

  • 翻訳結果を航海判断へ直接使わない。
  • 暴風時は集音角を閉じる。
  • 紙送り部へ指を近づけない。
  • 完全なフィクションの観測機器である。

異常記録・備考

  • 無風の夜に「まだ、ここで会える」と出力する例がある。
  • 同じ海岸でも満潮時だけ文体が変わる。

本作は架空の機械・架空の歴史を扱う創作図鑑です。組立・運転手順は世界観表現であり、現実の機械製作・医療・電気・圧力・生物実験の手順ではありません。